Jリーグの原点をつくるある日の出来事

Jリーグチェアマン 川渕 三郎の言葉から

1960年、まだまだ日本のサッカーが弱く、世界的にも全くといっていいほど日本サッカーが知られていない時代のサッカー日本代表としてのドイツ遠征。そこで、川渕三郎はあまりにも日本とは違う素晴らしい光景を目の前にして、感動していました。それはDuiskburgのクラブハウス前についたときでした。目の前に広がる広大な芝生。川渕さんはただただ呆然としていました。このように素晴らしいグランドを見た事がなかったのです。日本代表を含める日本のサッカー選手がいつも練習しているのは、今の小・中学校で使われているような石ころが転がっている堅い土のグランドだったのです。また、驚いたのは整備されているきれいなグランドだけではありません。大人と子供が一緒になってボールを追いかける。車椅子の人たちが、満面の笑顔でバレーボールを楽しんでいる。そんな光景が、ごく当たり前の生活としてそこにはあったのです。空港からのバスの中で、翌日のプレーばかり考えていた川渕さんにとって、余りに衝撃的な世界でした。

そのときのクラブチームとの試合は完敗。けれども、彼ら日本代表は十分に満足していました。勝利よりももっと大切なものを学び取ったのです。”スポーツを楽しもう”

それ以来、川渕さんはその日の事を忘れず、一つのゴールを目指しています。子供からお年寄りまで誰もが気軽にスポーツを楽しめる緑の広場をつくりたい。そこで生まれる笑顔で、この国を埋め尽くしたい。これがJリーグチェアマンになった川渕三郎のゴールです。ゴールネットを揺らすのは、100年先かもしれません。でもこんな想いを胸に、一歩一歩進んでいきます。

”スポーツでもっと幸せな国へ”